読み手が「読みたいこと」を書く

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

正月といえば年賀状ですが、この時期になるとネットの掲示板で以下のような書き込みが増えます。

「子どもの写真だけの年賀状を送ってくる人がいるけど、会ったこともない子の写真を見せられても困るんだよね。はっきり言って、他人の子どもには興味ないっつーの」

……私が言ってるわけではありませんよ。世間にはそういう意見もあるということです。年賀状を出す目的は人それぞれですからここではその是非については触れませんが、こういった「書き手と読み手の食い違い」は文章の世界でもよく見られます。

「書きたいこと=読みたいこと」ではない

つまり、書き手の「書きたいこと」が必ずしも読み手の「読みたいこと」と一致するわけではないということです。では、どういった文章の書き方をすればいいかと聞かれれば、当然、読み手が「読みたいこと」を書きましょう、ということになります。

そこで次の例文を読んでください。

息子が高校受験に合格しました。夫が学歴偏重主義で、幼い頃から家庭教師をつけて勉強させてきました。本当は同級生と一緒にサッカーをしたりゲームで遊んだりしたかっただろうに、息子はどんなに辛くても反発することもなく一生懸命に努力してきました。そんな息子の頑張る姿を見て、「最後まであきらめずに努力すれば必ず結果はついてくる」ということを確信しました。本当の勝利とはそういう心構えの先にこそ存在するのだと、息子から教えられました。今は息子に感謝しつつも、とにかく息子の合格を心から祝いたい気持ちでいっぱいです。

いかがでしょうか。確かに、家族にとって子どもの受験というのは一大イベントなのかもしれません。その受験に合格したのですから、あふれ出る喜びをみんなに伝えたいと思う気持ちも理解できます。

しかし、残念ながら他人からしてみればこれは本当にどうでもいい話です。なぜなら、受験生の話なんてどこにでもある、ありふれた話題だからです。受験に失敗した不幸話ならまだしも、合格しちゃったのですからなおさらです。この文章を読んで、「わー、おめでとう! 私もやる気が出てきました」と言ってくれる人がいたら、その人は貴重な読者です。ぜひ大切にしてください。

もし受験の話で読者の気を引こうと思ったら、「爆破予告を入れて試験を中止させた」ぐらいのインパクトが必要です。しかし、そんな「おいしい」経験をする人はあまりいません。では、どうすればいいのか。

そのような場合にはテーマの切り口を変えてみるのもひとつの方法です。上の例であれば、「受験生の親が絶対やってはいけないこと」というテーマで自分の経験から得られたノウハウを提供すれば、それを参考にしたいという読者もきっと現れるでしょう。同時に、息子が合格したということもさり気なくアピールできます。

間違っても、「息子が XX 幼稚園に合格しました」という年賀状は送らないことです。

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