みんなが間違える「閑話休題」の本当の使い方

文章の書き方

長い文章や講演では途中で話題が横道に逸れることがあります。例えば「ずっと難しい話をしてきましたが、ここらで一休みして昨日あった面白い小話を少々……」といった感じ。そこでよく登場するのが「閑話休題」という言葉。ところがその使い方が間違っているという指摘がネット上にあふれています。さて、何が正しくて何が間違っているのか、あらためて確認してみましょう。

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「閑話休題」とはムダ話をやめること

まず言葉の意味ですが、「閑話」というのはムダ話をすることです。さらに「休題」というのは、それまでの話題を中止することを指します。合わせると「閑話休題」で「ムダ話を中止する」という意味になります。

かんわきゅうだい【閑話休題】
話を本筋に戻すとき、または本題に入るときに用いる言葉。接続詞的に用いる。むだな話はさておいて。それはさておき。さて。

(『大辞林』三省堂)

実際には以下のように使われます。

一方、利益は現金の動きだけではなく、掛や手形、工場などの設備の動きも踏まえて計算される会計上の儲けの指標なので、企業を見るうえでは重視されるのだ。閑話休題。さて、ではさおだけ屋はそもそも利益を出すことができる商売なのだろうか? 普通に考えるなら、そもそものニーズがないのだから商品はめったに売れない。

これは2005年に光文社新書から発行され、151万部を売り上げるミリオンセラーとなり話題となった『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉・著)からの一節。「閑話休題」という語句をはさんで文章が前半と後半に二分されています。

これだけでは少しわかりにくですが、後半部分にタイトルにも使われている「さおだけ屋」が登場していますので、こちらが本題であると判断できます。つまり、

 ムダ話 –[閑話休題]– 本題

という構造になっています。
(※前半も決してムダ話ではないのでしょうが・・・)

まったく反対の使われ方をされることが多い「閑話休題」

ところが、よく間違いと指摘されるのが、

 本題 –[閑話休題]– ムダ話

という使われ方。つまり、「閑話休題」と言ってムダ話を始めるというまったく反対の使われ方です。おそらく「休」という字が「ひと休みしましょう」というイメージを連想させるからでしょう。中には「本編」に対する「番外編」という意味で「閑話休題」という言葉を作品のタイトルに使う誤用例もあるようです。

では、本題からムダ話へと移行したいときには何と言えばいいのでしょうか?
その場合は「余談ですが〜」といった表現を使うといいでしょう。

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