「貿」という字は「貿易」という言葉でしか使われない!?

小学校の時の担任が「貿」という漢字を教える際に、「この漢字は『貿易』という言葉以外で使われることはない、ちょっと変わった字だぞ〜」と言っていました。さて、これは本当でしょうか? 恩師を疑うわけではありませんが、ちょっと調べてみたいと思います。

「貿」は商いに関連した言葉で使われるが・・・

おなじみの『大辞林』によると、

ぼう【貿】
あきなう。とりかえる。「貿易」

となっています。シンプルですね。読み方は音読みの「ボウ」のみで、訓読みはありません。

字の構成としては、商いに関連した意味ということで「貝」が部首として使われています(昔、貨幣代わりに貝が使われていたため)。

では、「貿〜」ではじまる言葉を同じく『大辞林』で調べてみましょう。

【貿易】ぼうえき
【貿易依存度】ぼうえきいぞんど
【貿易外収支】ぼうえきがいしゅうし
【貿易外取引】ぼうえきがいとりひき
【貿易銀】ぼうえきぎん
【貿易金融】ぼうえききんゆう
【貿易金融EDI】ぼうえききんゆうイーディーアイ
【貿易財】ぼうえきざい
【貿易自由化】ぼうえきじゆうか
【貿易収支】ぼうえきしゅうし
【貿易商】ぼうえきしょう
【貿易条件】ぼうえきじょうけん
【貿易障壁】ぼうえきしょうへき
【貿易尻】ぼうえきじり
【貿易手形】ぼうえきてがた
【貿易風】ぼうえきふう
【貿易保険】ぼうえきほけん
【貿易摩擦】ぼうえきまさつ
【貿管令】ぼうかんれい
【貿手】ぼうて

最後に「貿管令」と「貿手」とありますが、これらはそれぞれ「輸出貿」、「貿形」の略称なので、そう考えると確かに「貿易」以外の使われ方はないようです。

ちなみに、「〜貿」と「貿」が終わりにくる言葉を『大辞林』で検索してもヒットする言葉はありませんでした。




そこで、本当に「貿易」以外の使われ方はないのかとネットで調べたところ、『Yahoo! 知恵袋』に以下のようなやりとりがありました。

「貿」を使った熟語って「貿易」しか思い当たらないのですが他にありますか?

※ 国語辞典では見当たりませんから、漢和辞典で調べてみました。
★ … 「貿乱」、「貿然」、「貿首」、「貿貿」、「交貿」、「販貿」、「易貿」、
※ 「貿々 」 … 「茫々」 … ぼんやりして、はっきりしないようす。

おお、いろいろあるようですね。ただ、漢和辞典にしかないということは日本語というより、漢語、中国語という扱いでしょう。実際に日本語として使われている例を見つけることはできませんでした。

もう少し調べていったところ、内田周平という方の『西依成齋基礎資料集』という書籍の中に、

凡そ貿遷は一に其の言を聽き、與に一錢の微を較せず。

という一文を見つけました。おそらくこれも元は漢文ではないかと思いますが、ちょっと意味がわかりません。

そこでもう少し調べたところ「貿遷」とは物事が「時間とともに移り変わっていくこと」という意味であることがわかりました。

この字を使った四字熟語に「陵谷遷貿(りょうこくせんぼう)」というものもあるようです。意味は「丘陵が谷に変化したり、逆に谷が丘陵になったりするくらい、世の中の変化が激しいこと」だそうです。

でも、日常で耳にすることはまずない言葉ですね。

 ・ ・ ・

まとめとしましては、「貿易」以外にも「貿」を使った言葉はあるが、日本で日常的に使われる言葉という意味では「ない」と言っても差し支えない。ということになります。

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