「こなれ感」知らないと恥? 使うと恥?

文章の書き方

先日、「大事なことでも2回は言わない。重複のない文章を心がける」という記事について、一通のお便りをいただきました。

大事なことでも2回は言わない。重複のない文章を心がける
同じことを2回繰り返して、「大事なことだから2回言いました」と締める文章の書き方がネットでちらほら見られます。これは、みのもんたさんが入れ歯洗浄剤のCMで使った言い回しが元ネタのようですが、普通の文章ではあまり表現を重複させるべきではありま...

こちらの記事では「頭い」といったような無駄な繰り返し表現(これを「重言」といいます)について触れているのですが、お便りくださった方が近ごろ特に気になるのが「違和じる」などに代表される「〜感」という言葉による重言だそうです。

「違和感を感じる」という表現がOKかNGかということについては、実はさまざまな意見があるのですが、それこそ、そういった表現に「違和感」をもつ読者がいることは確かなので、なるべく使わないに越したことはありません。

それよりも今回は、そういった重言の蔓延を助長しているのではないかと指摘される「〜感」という造語(?)について、ちょっと考えてみたいと思います。

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ファッションや芸術分野でよく使われる「〜感」

今回のお便りのなかで特に指摘されているのが、ファッション系の媒体に

 こなれ感
 クラス感
 サイズ感
 生地感
 着用感
 透け感
 抜け感

といった表現が目立つということでした。

いかがでしょうか? 私はファッションにはめっぽう疎く、そういった雑誌もまったく読まないので、実は上記にあるような言葉はほとんど馴染みがありません。

ネット上には、

「こなれ感」「抜け感」…知らないとちょっと恥ずかしい、春のおしゃれ用語辞典【定番編】(小学館 女性インサイト研究所)」

などという記事もあるようで、「やだ、知らなかった。恥ずかしいっ!」と、少々ショックを受けています(ウソ)。

おそらく、「感」という字を「〜的」「〜性」といった接尾辞と同じ感覚で用いて、いろいろな語を自由に接続しているのでしょう。そうなると、今後もさまざまな「〜感」が出てくる可能性があります。
それを良しとするか否かの判断は難しいところですが、少なくともそのあとに「〜を感じる」と続けないように気をつけたいところです。

では、辞書の上ではどうでしょうか? ここで得意の『大辞林』を引いてみます。

アウェーかん【アウェー感】
俗に、場違いな状況で味わう孤独感。アウェイ感。

いまさらかん【今更感】
時間経過や常態化などの理由で、遅すぎる感じ。または意味がない感じ。

きせつかん【季節感】
その季節らしい感じ。「 — のあるメニュー」

くうきかん【空気感】〔俗語〕
その現場、その実物の持つ雰囲気。

すけかん【透け感】〔俗語〕
透きとおるように見える生地の持つ感触。服飾用のものについていう。「 — のある素材」

やらされかん【やらされ感】
仕事などを、他人から強要されているような感覚。

(『大辞林』三省堂)

近ごろの辞書はいわゆる俗語も積極的に取り上げるので、「辞書に載っているからOK、載っていないからNG」なんて主張するつもりはありません。

ただ、「へぇ〜、辞書に載るくらい普及しているのだな」という目安にはなります。世間的に受け入れられているというか、こなれた感じになっているというか・・・あっ!

こういう感じを「こなれ感」というのですね!!

え? 違う? はぁ、スミマセン・・・

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