同じことを2回繰り返して、「大事なことだから2回言いました」と締める文章の書き方がネットでちらほら見られます。これは、みのもんたさんが入れ歯洗浄剤のCMで使った言い回しが元ネタのようですが、普通の文章ではあまり表現を重複させるべきではありません。もちろんギミックとしてはアリです(実は意外と好きなフレーズです)。
今回は文章のあちこちに現れる「重複」に注目し、それらを回避する文章の書き方について紹介していきます。
同じ語句を繰り返さない
(例文)
ガミラス帝国軍の歴史や政治的意義など、ガミラス帝国軍について多くのことを学んだ。(修正例)
ガミラス帝国軍の歴史や政治的意義など、その組織について多くのことを学んだ。
(例文)
文が長くなると読者は読みづらくなる。また、文が長くなると文法的な間違いも多くなる。(修正例)
文が長くなると読者は読みづらいし、文法的な間違いも多くなる。
ひとつの文、または連続する文の中で同じ語句を繰り返して登場させると、表現がくどくなります。そうなりそうな場合は、一方を「この」「その」といった代名詞に置き換えたり、文の構成を変えたりして、重複を避けるようにしましょう。
同じ音を繰り返さない
意味や字面(見た目)が違う語句であっても、音が同じであれば、やはり繰り返して使うのはよろしくありません。
(例文)
本を100冊読むことにより、文章の技術向上を図るよりも、まず1行書くことの方がより大切だと思う。(修正例)
本を100冊読むことで文章の技術向上を図るよりも、まず1行書くことの方がずっと大切だと思う。
上の例文に登場する「より」は、それぞれ動詞、格助詞、副詞といったように、品詞からしてまったく違うものです。しかしながら、読んだときのくどさというのは、意味が違うとか、品詞が違う、字面が違うといったこととは関係ありません。「yo-ri」という音が重要なのです。
「リズムのよい文章の書き方」で、文章は音を意識して書かなくてはいけない、と述べたのも同じ理由からです。

「頭痛が痛い」表現を避ける
(例文)
月例会議は、各事業部ごと、あらかじめ予約していた会議室で行われた。(修正例)
月例会議は、事業部ごとに予約していた会議室で行われた。
意味が重なる語句を無駄に繰り返す表現を重言(じゅうげん)といいます。上の例だと「各事業部ごと」の「各」と「ごと」がそれぞれという意味で重複しています。また、「あらかじめ」という語句に漢字をあてれば「予め」となることからもわかるとおり、「あらかじめ予約していた」という表現も重言となります。
以下によく間違える例を挙げておきますので、参考にしてください。
後で後悔する → 後で悔やむ
いちばん最後に → いちばん後に
いまだに未完成 → 未完成
今の現状 → 現状
色が変色する → 変色する
後ろへバックする → バックする
沿岸沿いに → 岸沿いに
炎天下のもとで → 炎天下で
思いがけないハプニング → ハプニング
およそ30分ほど → 30分ほど
価格が値上がりする → 価格が上がる
各位殿 → 各位
過信しすぎる → 過信する
必ず必要 → 必要
元旦の朝 → 元日の朝
期待して待つ → 期待する
挙式を挙げる → 式を挙げる
血痕の跡 → 血痕
古来からの → 古来の
辞意の意向 → 辞意
射程距離に入る → 射程圏に入る
受注を受ける → 注文を受ける
従来からの → 従来の
そもそもの発端 → 発端
〜だけに限る → 〜に限る
単に〜だけ → 単に〜
途中で中断する → 中断する
内定が決まる → 内定する
年内中に → 年内に
犯罪を犯す → 罪を犯す
再び再開する → 再開する
留守を守る → 留守を預かる
以上。文章を書くときには同じ語句や音、意味を繰り返さないように注意してください。いいですか、同じことは繰り返してはいけません。大事なことなので2回言いましたよ。