いま、「でんでんコンバーター」を使って EPUB ファイルを作っています。
その過程で、上の画像のように2倍ダーシ「——」の間にアキが生じてしまうという問題が起きましたので、そのあたりの対処法について調べてみました。
2倍ダーシとは?
ダーシはダッシュと呼ばれることもありますが、一般的には横棒の記号(約物)のことを指します(縦書きでは縦棒となります)。
「—」← これのことです。
で、2倍ダーシというのは文字どおりダーシの長さが2倍になった記号で、次のような使われ方をします。
あれのかくし子であったなどということは、絶対に、── 絶対にありえないのだ
(『蝶々殺人事件』横溝正史・著)
印刷の組版の場合はいくつかの処理方法があるようですが、デジタルコンテンツの場合は簡易的にダーシをふたつ並べて「——」とするのが一般的です。
ですが、このようにダーシをふたつ並べても、表示する端末によってはふたつのダーシの間にアキができてしまうことがあります。特に MacOS や iOS の環境でアキができやすいようです。
結論を言ってしまうと端末の仕様に左右されるので根本的な解決方法はないのですが、アキができる確率を下げる方法はあるようです。
2倍ダーシとして使える文字には「——」「――」「──」などがある
パッと見ではその違いに気づかないかもしれませんが、これらはそれぞれ違う文字で構成されています。(U+〜)というのがそれぞれの文字に割り振られた文字コードです。
—— これは全角ダッシュ(U+2014)です
―― これはホリゾンタルバー(U+2015)です
── これは罫線素片(U+2500)です
これを、「でんでんコンバーター」で縦書きの EPUB ファイルに変換し、MacOS の iBooks で表示させたのが以下の画像です。
結果は、ホリゾンタルバー(U+2015)を並べたものは繋がって表示されずアキができてしまいました。
「電書ラボ」さんが調査した「電書リーダーEPUB表示テスト」にも、ホリゾンタルバー(U+2015)を使った2倍ダーシは、iOS 版の iBooks や同じく iOS 版の kobo アプリなどで「繋がって見えない」という結果が出ていました。
(わかりやすいように関係ない項目を省略しています)
「リーダーによっては(U+2014)でも(U+2015)でもアキができることがあるから、確実に繋げたければ(U+2500)を使うしかない」と書いているサイトもありましたが、「電書ラボ」さんのテストによればほとんどのリーダーで(U+2014)は問題なく表示されるようです。
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まとめとしては、電子書籍用の原稿では全角ダッシュ(U+2014)を使い、それでダメなら罫線素片(U+2500)を使うというのが有効な対処法となります。