ある事件に関する報道で、専門家が「犯行声明文の書き方から察するに、犯人は出版・報道関係者である可能性が高い」と言っていたのを見たことがあります。
その根拠が「!」や「?」といった記号の後ろに空白が打ってあり、一般にはあまり知られていないが、これは出版や報道の業界でよく使われる書き方だというのです。
(例)
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確かに私も出版社にいたころ、そう教えられました。
実はこのほかにも、出版業界には「小学校で習う原稿用紙の使い方」とは違った文章の書き方が存在します。
文末に丸カッコがくる場合、句点はそのあとに付ける
(例)
▲ 過度のロカボダイエットは危険です。(ロカボとは低炭水化物のこと)◎ 過度のロカボダイエットは危険です(ロカボとは低炭水化物のこと)。
文の終わりに、丸カッコ付きでその文を補足するような内容を添える場合、句点「。」は丸カッコの後ろに付けます。丸カッコ内の注釈文も前の文の一部ですよ、という考え方です。
ただし、著者や引用元のクレジットを示す場合や、注釈が複数の文にかかる場合は句点のあとに丸カッコがきます。
(例)
ダイエット合宿とは痩せることを目的にした合宿のこと。(『大辞林』三省堂)←引用元を示す過度のロカボダイエットは危険です。でも確かに痩せます。(ロカボとは低炭水化物のこと)←複数の文にかかる注釈
よく契約書などで、
株式会社A(以下、「甲」という。)と・・・
という言い回しが出てきます。私としては、
株式会社A(以下、「甲」という)と・・・
と書きたいところですが、これはその業界の習わしなので、こういう場合は黙って従います。ですが、ちょっとモヤモヤしてしまいます(←職業病ですね)。
カギカッコ内の会話文では、最後に句点を付けない
(例)
▲ 「毎日豆腐ばかりで飽きてしまいましたわ。」◎ 「毎日豆腐ばかりで飽きてしまいましたわ」
学校教育ではおそらく句点を入れる様式を学ぶと思います。もちろん、どちらも間違いというわけではありませんが、出版業界では句点を付けないのが普通です。
また、カギカッコの内容が他の文の一部であり、最後がそのカギカッコで終わる場合、句点はそのあとに付けます。
(例)
彼女のはじめての言葉は「牛丼大盛り、ご飯は半分にしてください」。
以上、「ちょっとややこしいですね」。