他人が書いた『読書感想文』が楽天Koboで無料配信されていた!

電子書籍について

楽天Kobo電子書籍ストアを覗いていたら、たまたま面白そうな作品が配信されているのを見つけました。

星の王子様を読んでないけど感想文書いてみようw[電子書籍版]
著者:snaker

内容は、サン=テグジュペリの有名な著作『星の王子さま』の読書感想文のサンプルが数パターン掲載された「安直本」といったところです。要は、読書感想文を書かなくちゃならない小中学生の代わりにちょっと書いてみたので自由に使ってください、ということです。

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無料の読書感想文、その内容は?

商品説明の欄には以下のように書いてあります。

期末や夏休み明け直前の学生向けの読書感想文・小論文 作文・レポート 他  の無料閲覧サイト「青欧: http://seiou.gozaru.jp/」掲載の読書感想文。電子書籍版第3弾!「星の王子様を読んで」です。タイトルどおり、ちゃんと読んでないけど書けるか?ってテーマで執筆してます。サイト内感想文および本感想文は自己責任の元でパクリOKです。個人的には「創作は模倣から始まる」とか「2つ以上パクれば盗作ではなく参考、5つ以上でオリジナル」と思ってます。がしかし・・・パクルにあたって、一応ボロが出ないように一行くらい「自分オリジナルの文章」をいれてください。
そうすれば、パクリ<参考の図式が成り立ちやすいです。念のため自分で「本」を用意して多少は目を通してください。

商売としてこんなことをやっているのだとしたらいろいろ問題あるのかもしれませんが、無料配布だからまあいいのかなと思います(いや、よくないか…)。

それよりも「読書感想文」なんてハードルの高いものを堂々と公開して「これを参考にしろ」と言ってしまうあたり、素直に「すごいなぁ」と感心してしまいます。文章でお金をもらっている私でもちょっとおこがましくて真似できません。

さて、その内容ですが「きっかけ編」と「あらすじと感想編」という二つの章から構成されています。

「きっかけ編」には300字あまりの文章が3パターン、「あらすじと感想編」には1732字の文章が1本。くっつければ2000字程度の読書感想文が3パターン作れるという仕組みです。これはちょっといいかも。

で、肝心の文章ですが、「きっかけ編」から1パターン抜粋しましょう。

 私がこの本を読むきっかけとなったのは、先日、DVDで、エディ・マーフィー主演「星の王子様ニューヨークへ行く」を見ました。
内容は、王子様が花嫁探しに出掛けることになるが、運がよいのか悪いのか、行った先は恐ろしい大都会ニューヨーク。そこで理想の女性を見初めて、無事故郷へ帰ることができるか…。というコメディタッチなストーリーでした。
ところで、サン=テグジュペリ 内藤 濯 の「星の王子さま」は名前だけは知ってても、読んだことが無い本でして、実は、「星の王子様ニューヨークへ行く」同じような話かと最初思っていましたが、実は無関係であることが、最近わかりました。
私はより興味をもち、この本を読み感想を書くことにしました。

なかなか面白いです。前半のエディ・マーフィーの話がまったく本編につながらないところが小学生の感想らしくてグッドです。うまく書きすぎてはかえって怪しまれますからね。

ちなみに件の映画の邦題は『星の王子 ニューヨークへ行く』であり「様」は入っていません。また、この電子書籍全体にいえることですが、対象の書名が『星の王子さま』であったり『星の王子様』であったりと統一されていません。このあたりも小学生らしさが出ています。

また、「私がこの本を読むきっかけとなったのは、先日、DVDで、エディ・マーフィー主演『星の王子様ニューヨークへ行く』を見ました」という書き出しも主部と述部が呼応していなくて、わざと拙い感じに書かれています。さらに、後半には脱字も一箇所ありますね。

そして、メインの「あらすじと感想編」。

内訳は「あらすじ」が約3/4、感想が約1/4 といったところです。

「読書感想文にあらすじは必要ない」と先生に言われつつも文字数かせぎのためにやっぱり書いてしまった…という小学生らしさがここでも巧妙に表現されています。

そしていちばん重要な感想部分は以下のように書かれています。

すべて読み終わったあと、なんともいえない感じが残る本でした。

読めば、読むほどいろいろな発見があり、面白かったと思いました。

また同じように大切な何かをこの本から学べるような気がしました。

見事なまでに「抽象的」です。

これなら『星の王子さま』以外の本にも使えそうです(ラッキー!)。

なんというか、「この子、本を全部読まないであらすじだけで書いてるな」と先生にバレてしまうという、ある意味「読書感想文の典型例」がうまく表現されています。

っていうか、この電子書籍の著者自身が『星の王子さま』を読まずに書いているとしか思えません。っとよく見たら商品説明のところに「ちゃんと読んでないけど書けるか?ってテーマで執筆してます」とありますね。

タイトルの『星の王子様を読んでないけど感想文書いてみようw』って著者自身のことだったのか!

なかなか奥の深い作品です。

この電子書籍を手にとった小中学生には、『星の王子さま』で感想文を書くよりも、この電子書籍そのもので感想文を書くことをおすすめします。

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