「汚名挽回」は誤用ではないかも? ジェリドの汚名挽回なるか

文章の書き方

「汚名挽回」は「名誉挽回」と混同した誤用で、「汚名返上」とするのが正しい。

というのが、世間一般の認識であります。「汚名挽回」が使われた例としては、アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場するジェリド・メサのセリフが有名です。

ジェリド「大佐、ガンダム Mk-II を使わせていただけるのならば、自分が汚名挽回をしたく……」
バスク「汚名挽回? その言葉は実績を見せた者が言うことだ」

「挽回」とは「失ったものを取り返すこと」という意味。つまり、「名誉挽回」は失った名誉を取り返すということですが、「汚名挽回」という言葉が存在するならば、それは汚名を取り返すという意味になってしまうというわけです。

この論理が、劇中で何度も何度も失敗を重ねるジェリドのキャラクターと相まって、いつしかネットの一部では「汚名挽回とは、いちど汚名を着せられた人物が同じ過ちを繰り返すこと」という認識が広まってしまいました。

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辞書の編纂者が「汚名挽回」は誤用でないと発言

このようななか、『三省堂国語辞典』の編集委員である飯間氏が以下のような発言をしたことが話題となりました。

「挽回」は「元に戻す」という意味があるので、「汚名挽回」は「汚名の状態を元に戻す」と考えられ、誤用ではない。これは『三省堂国語辞典』第7版に記述しました。『明鏡国語辞典』もやんわりとですが、誤用と決めつけられないことを記しています。「汚名挽回」の汚名挽回なるか、といったところ。

似た性質の言葉に「疲労回復」というものがあり、こちらも「元に戻すのは疲労ではなく、健康だろ」という意見が存在します。このあたりについては研究者のあいだでも意見が割れているようで、私たち一般人が「それ間違ってるよ。恥ずかしいやつだな」と指摘するのは避けたほうがよさそうです。

まとめ:怪しい言葉は使わない

全然いい」のときと同様、反対意見をもっている人がいるものをわざわざ使う必要はありません。しばらくは「汚名挽回」には触れない方がいいと思います。

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