弘法は筆を誤ったあと、筆を投げた

コラム

 昨日8日にテレビ放送された「第64回NHK杯テレビ将棋トーナメント準決勝 橋本崇載八段対行方尚史八段戦」で、橋本八段がまさかの「二歩」で反則負けしました。

「二歩」とは同じ列に「歩兵」をふたつ打ってはいけないというルールで、誤って打ってしまった場合は即座に反則負けとなります。

NHK杯は録画放送だったようで、実は前日に橋本八段本人がツイッターでこの珍事についてほのめかしていました。

https://twitter.com/shogibar84/status/574212290276261889

ところで、明日は私のNHK杯の放映日です。その時間帯は飛行機に乗っておりますが、何やらトンデモない事が起きる!?

まさに、「弘法にも筆の誤り」といったところです。

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天才は失敗したあとのフォローが違う

さて、「弘法にも筆の誤り」ということわざについて、『大辞林』には以下のように記されています。

書の名人である弘法大師にも書き損じはある、の意で、その道にすぐれている人でも、時には失敗することがあるというたとえ。猿も木から落ちる。河童の川流れ。

弘法大師というのは空海のことですね。橘逸勢、嵯峨天皇とともに三筆(さんぴつ/書道にすぐれた3人)のひとりと称されています。

ちなみに、三蹟(さんせき/書道の大御所)というのもあって、この場合は小野道風、藤原佐理、藤原行成の3人を指します。

さて、弘法大師が字を書き間違えたというのには具体的な逸話がありまして、なんでも「応天門」という門の額の字を書いた際に「応」の字の点を打ち忘れてしまったそうです。

気づいた時にはすでに額は高い場所に飾られてしまっていて、みんなどうしたものかと困っていたところ、弘法大師は少しもあわてず、墨のついた筆を下から額めがけて投げつけ、足りない点を補ったといいます。

このことから、「天才というものは、失敗したあとのフォローも常人とは違う」という賞賛の意味がこのことわざには含まれているという人もいます。

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名人でも失敗することはある。重要なのは失敗したあとどう対処するのか、ということですね。そういった意味では自らの失敗をツイッターでネタにした橋本八段の行動は、さすが名人といったところでしょうか。

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