2月25日は菅原道真公の命日だそうです。
菅原道真といえば「遣唐使の廃止」→「太宰府に左遷」→「怨霊」→「天神様(学問の神様)」というのが一般に知られているイメージでしょう。
今回は、この菅原道真にまつわる言葉について紹介します。
雷がゴロゴロ鳴り出したら「くわばら、くわばら」と唱える
「くわばら、くわばら」という言い回しは、元々は雷除けのおまじないのように使われることが多かったようです。
お百姓は「桑原、桑原。」と唱えながら、頭をかかえて一本の大きな木の下に逃げ込んで、夕立の通りすぎるのを待っていました。すると間もなく、がらがらッと、天も地もいっしょに崩れ落ちたかと思うようなすさまじい音がしました。
(『雷のさずけもの』楠山正雄)
それが次第に落雷以外の好ましくないことにも使われるようになりました。
トランクも買いこんで、身の廻りの品々。フランスの香水に至るまで。右往左往、ひきずりまわされる青木は、アア、大変な買物だ、この支払いだけでも、わが社の会計係は月末に一苦労だなア、桑原々々、とついて行く。
(『街はふるさと』坂口安吾)
では、この「桑原(くわばら)」とはどういう意味なのでしょうか。
諸説あるようですが、私が高校生のときに日本史の先生から聞いたのが菅原道真を由来とする説です。
菅原道真はとても偉い役人さんでしたが、ライバルの調略により大宰府に左遷されてしまいます。そして恨みを抱きつつその地で生涯を終えるのですが、死後その魂は怨霊となって憎き政敵たちが暮らす京の町に雷を落としまくったそうです。
このような伝承のため、菅原道真は平将門や崇徳天皇とともに日本三大怨霊のひとりに数えられています。
さて、雷を恐れる京の人々は空がゴロゴロ鳴り出すとあちこちに逃げるわけですが、誰かが「菅原道真公が暮らしてた『桑原荘』なら安全じゃね?」と言い出します。そしてその噂が広まって、「桑原荘に行け、桑原だ、桑原」「桑原、桑原」となったそうな。
三省堂の『大辞林』にも、そのような記載があります。
菅公(かんこう)の領地桑原には一度も落雷がなかったことによるという。
(『大辞林』三省堂)
これが本当の話なのか、どうなのか。真実は天神様のみ知る、といったところでしょうか。