「適時」と「随時」、「適宜」の違い

文章の書き方

「適時、休憩をとってください」

バイトや仕事での作業中に上司や先輩からこう言われた場合、あなたはどんな行動をとればいいのでしょうか?
今回は間違いやすい似た言葉、「適時」と「随時」、さらに「適宜」の違いについてちょっとお話したいと思います。

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「適時」は好き勝手な時というわけではない

「適」という字は「適切」「適正」といった言葉で使われるように、ある状態や目的、要求などにぴったり合っていることを表します。ですから「適時、休憩をとってください」と言われたとしても、何も考えず好き勝手な時に休んでいると「お前、なにやってんだ!」と叱られてしまうこともあります。つまり、休んでいい時か、わるい時か自分でしっかり判断して休みなさい、ということです。

これに対し、比較的自由度が高いのが「随時」という言葉。「随」とは勝手、気ままという意味を含んだ字で、「随時」を辞書で調べると「好きな時いつでも(『大辞林』三省堂)」といったように書かれています。

ですから「随時、休憩をとってください」と言われたのであれば「お前、なにやってんだ!」と叱られたとしても「いやだって、随時休んでいいと言ったじゃないですか!」と反論することができます。

逆に上司や先輩の立場からすれば、部下や後輩に責任を押し付けやすいため「随時」よりも「適時」を使った方が得策ということになります。

そして「適時」よりももっと便利に使える言葉が「適宜」という言葉です。

「適宜」はどんな状況でも使えるオールマイティな言葉

「適宜」という言葉を辞書で調べると以下のようにあります。

てき ぎ【適宜】
(名・形動)
①その場に合っていること。ちょうど適していること。また、そのさま。適当。「──な処置」
②個々の状況に合わせて行動するさま。副詞的にも用いる。「各自──解散してよろしい」

(『大辞林』三省堂)

「適時」が時間の問題に特化した言葉であるのに対して、「適宜」は時間以外の問題にも使うことができます。例えば「休憩については適宜、判断してください」と言えば、いつ休むのかという時間の問題に加え、どこで休むのか、どういう状態で休むのか、そもそも休むべきなのかどうかもよく考えてください、ということにもなります。

適宜の「宜」は「宜しく(よろしく)」という意味なので、「あとは適当にヨロシクやっといてー」といったニュアンスで使うことができるというわけです。便利ですね。

蛇足

上の文で使った「適当」という言葉ですが、この言葉には二つの(場合によっては相反する)意味があります。ひとつは「目的や要求に合っていること」という意味。もうひとつが「いい加減なこと」。

学生時代の試験で「以下の選択肢の中から最も適当なものを選びなさい」という問題があったのですが、同級生のM君がいちばんふさわしくない(=テキトーな)選択肢を選んだことは今でも忘れられません(実話)。

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