独壇場(どくだんじょう)は独擅場(どくせんじょう)の誤り!?

独壇場(どくだんじょう)という言葉があります。

ここに至って、逆上ぎらいの石川淳も万策つきて顛動し、ズボンのボタンをはめるのに手のふるえがとまらず、数分を要したという菅原記者の報告であった。しかし、これからが石川淳の独壇場であった。 身支度ととのえ終って、旅館をとびだす。(『安吾巷談 熱海復興』坂口安吾)

意味は、「ひとり舞台」といったところです。

手偏(てへん)を土偏(つちへん)と間違った!?

ところがこの「独壇場」という言葉を『大辞林』で調べてみると次のように書いてあります。

どくだん じょう【独壇場】
〔「独擅場 どくせんじょう」の「擅」を「壇」と誤って生じた語〕
→ 独擅場 どくせんじょう に同じ。「この分野は彼の─だ」

(『大辞林』)

「独擅場(どくせんじょう)に同じ」と書いてあるだけで意味は書いてありません。そこで「独擅場(どくせんじょう)」を調べてみると、

どくせんじょう【独擅場】
その人ひとりだけで、思いのとおりの振る舞いができるような場面・分野。ひとり舞台。独壇場 どくだんじょう。〔「擅」を「壇」と誤り、「ひとり舞台」の意から「独壇場 どくだんじょう」の語が生じた〕

(『大辞林』)

となっていました。

少し分かりづらいですが、「壇(だん)」は土偏(つちへん)で、「擅(せん)」は手偏(てへん)という違いがあります。

ちなみに、「独擅場」の使用例には以下のようなものがあります。

以上の通、池田屋襲撃は、殆んど新撰組の独擅場で、彼等が得意になるのは当然だらう。(『大衆維新史読本 池田屋襲撃』菊池寛)



では、「壇」と「擅」はそれぞれどんな意味でしょうか。

だん【壇】
① 一段と高くこしらえた所や設備。「─に登る」「ひな─」
② 土を盛ったりして高くした祭りや儀式を行う場所。
③ 〔梵〕土を盛ったり、木で囲ったりして作る修法や授戒などを行う特殊な場所。→ 曼荼羅 まんだら

(『大辞林』)

せん【擅】
自分の思いのままにする。ほしいまま。「擅権・擅断・独擅場」

(『大辞林』)

現在は、「独壇場(どくだんじょう)」という言葉も世間に十分受け入れられていますので、使ったところで咎められることはないでしょう。

ただし、「独断場」とか「独占場」といった書き方は間違いなので注意しましょう。

スポンサーリンク

シェアする

スポンサーリンク