「スケルトン」は透けるという意味ではない

文章の書き方

1998年にアップルから「iMac(G3)」と呼ばれるディスプレイ一体型のデスクトップ・コンピュータが発売されました。特徴はポリカーボネートを採用した半透明の筐体。それまでのコンピュータのイメージを一新するそのデザイン・コンセプトは世の中に大きなインパクトを与え、コンピュータ業界にとどまらず、文房具や家電業界でも似たようなデザインの商品がたくさん作られました(上の画像のような)。そしてこのような “透ける” デザインは当時、「スケルトン」デザインと呼ばれていました。

近ごろ、スケルトンデザインの「PS4 Pro」が発売されましたね。

しかしながら、“透ける” から「スケルトン」と結びつけてしまうのはちょっと間違い。ここであらためて「スケルトン」の意味を確認してみましょう。

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スケルトンは骨格という意味の英単語(skeleton)


スケルトンを英語の辞書で調べると以下のようにあります。

skeleton /skélɪt(ə)n/
① (人・動物の)骨格、がい骨、ひどくやせた人[動物]
② 重要部分、(船・建造物などの)骨組み、(焼け残りの建物などの)残骸、(植物の)組織
③ (作品などの)概要、あらすじ

(『ウィズダム英和辞典』三省堂)

上の写真のような生物の骨格を「スケルトン」と呼ぶほか、建築・建設や不動産業界では建物の構造体や、店舗の内装設備がない状態の物件を「スケルトン」と呼んだりします。

この英単語自体には「透ける」という意味はありませんが、レントゲン写真のように「身体が透ける」→「骨格が見える」というイメージから「スケルトン=透ける」と勘違いしてしまうのも理解できます。

ただし、英語で「I have a skeleton accessory」と言ったら、それは「透明なアクセサリー」ではなくきっと「骨で作ったアクセサリー」と受け取られてしまうでしょう(まるで『はじめ人間ギャートルズ』の世界です)。この場合は「シースルー(see-through)」という言い方が適当です。

また冒頭で紹介したiMacのような半透明デザインは、近ごろでは「スケルトン」ではなく「トランスルーセント(translucent)」デザインと呼ばれるようになりました。こちらは半透明の場合の言い方ですが、まったく透明の場合は「トランスペアレント(transparent)」という単語を使います。

translucent /trænslúːs(ə)nt/
半透明の

transparent /trænspǽr(ə)nt/
透明の

「スケルトン」よりもこっちの方がなんとなくカッコイイですね。どうぞ使ってみてください。

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