最近、テレビCMで「お値段そのままギガ増量!」なんてキャッチフレーズをよく流しているからか、「ギガ」という言葉を「データ容量」の英訳かなにかと勘違いしている人が増えているようです。例えば、「ギガ(データ容量)がもらえる」とか「今月のギガ(データ容量)、あと300MBしか残ってない」といったように。ところが「ギガ」は「ミリ」や「キロ」と同じように分量の大きさを表す言葉なので、「ギガ」が増えるとか減るといった表現は適切ではありません。
そこで、今回はあらためて「ミリ」や「キロ」、「ギガ」といった言葉についておさらいしたいと思います。
「ギガ」は国際単位系(SI)における接頭辞のひとつ
長さの単位を「メートル」、質量(重さ)の単位を「グラム」と呼ぶことは皆さん知っていると思います。これらは国際的にその使用が推奨されている単位の名称で、その決まりを国際単位系(SI)といいます。
さらに、1メートルの1000倍、つまり1000メートルを1キロメートル、1グラムの1000倍を1キログラムということもご存じだと思います。この「キロ」も、国際単位系(SI)で1000を意味する言葉として定義されています。これをSI接頭辞といいます。
このほかにも、100分の1を示す「センチ」、1000分の1を示す「ミリ」などがおなじみです(1m = 100cm = 1000mm)。それ以外の接頭辞については以下をご覧ください。
1 000 000 000 000 000 000 000 000 ヨタ(Y)
1 000 000 000 000 000 000 000 ゼタ(Z)
1 000 000 000 000 000 000 エクサ(E)
1 000 000 000 000 000 ペタ(P)
1 000 000 000 000 テラ(T)
1 000 000 000 ギガ(G)
1 000 000 メガ(M)
1 000 キロ(k)
100 ヘクト(h)
10 デカ(da)
0.1 デシ(d)
0.01 センチ(c)
0.001 ミリ(m)
0.000 001 マイクロ(µ)
0.000 000 001 ナノ(n)
0.000 000 000 001 ピコ(p)
0.000 000 000 000 001 フェムト(f)
0.000 000 000 000 000 001 アト(a)
0.000 000 000 000 000 000 001 ゼプト(z)
0.000 000 000 000 000 000 000 001 ヨクト(y)
こちらを見ていただければわかると思いますが、「ギガ」は10億を表すSI接頭辞です。
「ギガ増量!」のギガの単位はバイト
先ほど、「メートル」や「グラム」は単位の名称だと書きましたが、「ギガ増量!」とかでいうところの単位は「データ容量」を表す「バイト」になります。「バイト」の詳しい説明はここでは省きますが、特にコンピュータの世界ではデータ容量を「1GB(ギガバイト)」、「1MB(メガバイト)」、「1TB(テラバイト)」といったように表します。
こういったことをまとめて考えると、「データ容量が増える」ことを「ギガが増える」と表現するのは、「体重が増える」ことを「キロが増える」と言っているようなもので適切ではありません。
百歩譲って「バイトが増える」、「グラムが減る」という言い方であればまだ許容できます。実は、こういった使い方は昔からありました。例えば長さの単位「尺」です。
「尺」は一寸の10倍、一丈の10分の1を表す単位ですが、それ自体に「長さ」という意味もあり、「尺が足りない」といった表現もよく使われます。
いずれにしても、「ギガ増量!」は誤解のある表現だということを知っていただきたいと思います。