「判官(ほうがん)びいき」の判官ってどんな意味?

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いま流行の『刀剣乱舞』というゲームに「検非違使(けびいし)」という強敵が登場したとネットで話題になっています。私自身はこのゲームをプレイしていないので詳細はわかりませんが…。(上の画像は『Wikipedia』より引用。『伴大納言絵詞』に描かれた検非違使)

検非違使とは平安時代に設置された役職のひとつで、『大辞林』には以下のように説明があります。

けびい し【検非違使】〔「けんびいし」の撥音「ん」が脱落した語〕
平安初期に置かれた、令外の官の一。京中の非違・非法を検察する役であったが、訴訟・裁判も扱うようになりその権威は強大になった。のちに、諸国や伊勢神宮・鹿島神宮などにも置かれた。

(『大辞林』三省堂)

この時代の役人は大きく4つの等級に分けられていて(四等官制)、検非違使にも「別当=長官(かみ)」「佐=次官(すけ)」「大尉・少尉=判官(じょう)」「大志・少志=主典(さかん)」という官職がありました。

ちなみに、この四等官制が検非違使ではなく国司だと「守(かみ)」「介(すけ)」「掾(じょう)」「目(さかん)」となります。「大岡越前(おおおかえちぜんのかみ)」とか「吉良上野(きらこうずけのすけ)」とかが有名ですね。

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判官といえば源義経!

さて、検非違使に話を戻しますと、四等官制の3番目に「大尉・少尉=判官(じょう)」という官職があります。「判官」は「ほうがん」「はんがん」とも読みますが、牛若丸こと源義経もこの検非違使の判官でした。そこから義経のことを「九郎判官」と呼ぶこともあったようです(九郎は義経の通称)。

義経といえば平家との戦いに貢献しながらも兄である頼朝からいわれのないいじめを受け、最後は奥州で果てた悲劇のヒーローです。

そんな義経の悲しい物語が世の人々の同情を集め、やがて「判官贔屓(ほうがんびいき)」という言葉が生まれました。

『大辞林』には以下のようにあります。

ほうがんびいき【判官贔屓】
〔源義経が兄頼朝に滅ぼされたのに人々が同情したことから〕
弱者や薄幸の者に同情し味方すること。また、その気持。はんがんびいき。

(『大辞林』三省堂)

現在、私たちが推している今川さん(義元)も薄幸の者といえます。家康くんという巨大な勢力に立ち向かう者として「判官びいき」が発動するかも(いや、しないか…)。

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