刀にまつわる言葉、「抜き打ち」と「抜き付け」

コラム

近ごろ『刀剣乱舞』というオンラインゲームが流行っているそうで、「とうらぶ」と略したりするそうですが、ネットのあちらこちらでよく刀の話題を目にします。

このゲーム自体はプレイしたことがないのであまり詳しくはないのですが、実は私、居合道を習っていまして、日本刀は大好きであります。

そこで今日は、刀にまつわる言葉についてのお話です。

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日常生活でも使われる「抜き打ち」

「抜き打ち」という言葉はみなさんご存知だと思います。「抜き打ちテスト」とか「抜き打ち検査」といった形でよく使われます。学園もののアニメやドラマなどでよく登場しますね。

『大辞林』では以下のように説明しています。

ぬき うち【抜(き)打ち】
① 刀を抜くと同時に斬りつけること。「─に切りかかる」
② 予告なしに、突然物事を行うこと。「─検査」「─テスト」

よく使われるのは②の意味ですね。政府が何の前触れもなく衆議院を解散することを「抜き打ち解散」と言ったりもします。

それに対して①の方は日常生活ではあまり使われませんが、こちらが本来の意味です。鞘に刀が収まった状態から「スッ」と抜いて斬りつけます。上手になればなるほどその気配が読みづらいため、②のような「突然に」という意味につながったわけです。

ちなみに、全剣連制定居合の十二本目に「抜き打ち」という技があります。

辞書には載っていない「抜き付け」

これに対し、「抜き付け」という言葉があります。ただこちらは普通の辞書にも載ってなく、日常生活で使われることもほとんどありません。

しかし、居合道をはじめとした剣術ではけっこう重要な言葉として扱われています。

刀を抜いた最初の一刀が抜き付けで、これが居合の生命である。

私の持っている教本にもこのように書いてあります。

では、「抜き打ち」と「抜き付け」はどう違うのでしょうか。

この点について私の中途半端な知識で答えると先生に叱られてしまいますので、『Yahoo! 知恵袋』に投稿された先輩の言葉を拝借します。

抜き付けとは「抜いて、狙った部分を斬らずに、狙った部分に留め置くこと」です。ですが結果、斬れてしまっても可です。斬りきろうという意識がなければ。

かたや抜き打ちとは、「狙った部分を斬りきろうという意識のもと、打ち込むこと」です。狙った部分にヒットしてからも若干力が入り続けます。

(Yahoo! 知恵袋)

ということです。居合道ではこの「抜き打ち」と「抜き付け」を技によって使い分けます(私はまだまだできませんが)。

 ・ ・ ・

似ている言葉ですが、「抜き打ち」というと誰でも知っている単語だし刀剣用語っぽくないですよね。そこで、あえて「抜き付け」という言葉を使ってみてください。

「おお、何か専門用語っぽい。こいつ剣術に詳しいな」

と思われるかもしれませんよ。

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