Q. 「牡蠣」という漢字の読み方・由来・語源は?

「牡蠣」という語を辞書で調べると「○○○○○科の二枚貝の総称。左殻はよく膨らんで海中の岩などに付着し、右殻は割合に平らでふたのようになる殻の表面には薄い板状の成長脈が発達する。肉は美味で、各地で盛んに養殖が行われる(『大辞林』三省堂)」とあります。写真を見れば一目瞭然ですが、念のためヒントとなりそうな部分を○○○○○として隠しました。冬の季語として俳句などにも多く読まれています。

読み方は「かき」。その語源は?

牡蠣は「かき」と読みます(上の「○○○○○科の二枚貝」という○部分には「イタボガキ」という字が入ります)。簡体字では「牡蛎」と書くこともあります。実はこの「蠣」という一字だけでもカキを意味するので、「牡」がなくても意味は通じます。ではなぜ「牡(オス)」という字が付いているのかというと、昔の中国ではカキにはオスしかいないと誤解されていたためといわれています。実際、「カキの生殖巣においては精巣と卵巣が入り混じっていることもあり、その区別は肉眼では不可能で、顕微鏡を使用しなければならない(『Wikipedia』より)」そうです。

さて牡蠣(牡蛎)は中国語で「Mǔlì(ムゥリィ)」と発音しますが、日本語ではなぜ「カキ」なのでしょうか? これには諸説あるようですが、岩などに張り付いている貝を掻き落として採取することから「掻貝(かきかい)」という意味で「かき」と呼んだという解釈が主流です。

英語の「oyster」はどんな意味?

牡蠣の英訳は「oyster」ですが、この単語は殻がデコボコしていて岩にくっついている貝の総称です。そのため真珠貝として有名なアコヤガイなども「pearl oyster(真珠のカキ)」と呼ばれ、英語の「oyster」がイコール「カキ」というわけではありません。

また「oyster」には(口の固い人、無口な人)という意味もあり、「as close as an oyster(カキのように口が堅い)」というフレーズが存在します。さらに、シェイクスピアの『The Merry Wives of Windsor』に「The world is your oyster」というセリフが登場しますが、これは「oyster」を(利益が得られるもの)という意味で使っていて、日常会話でも「The world is A’s oyster」で(世の中はAの思うままである)という表現になります。

使用例

牡蠣よりは海苔をば老の売りもせで(『続虚栗』芭蕉)

中年の男である。色の白い、端正なかおだちであった。肌は、むいた牡蠣のように白い。生まれてから、一度も髭をあたったことがないようにさえ、見えた(『小説・料理の鉄人』小山薫堂・著/フジテレビ出版)

ボンの尻ポケットからなにものかを引き出すと、それを握りしめて相手の口を一撃した。牡蠣の殻を鉤でこじあけるような音がして、赤い泡にかこまれた小さな礫が僕に向って飛ぶ(『万延元年のフットボール』大江健三郎・著/講談社)

もしくは山かけそば、というメニューがない。あるのは天ぷらそばと、肉そばと、カキフライそばと、鴨南蛮そばだけである。どうもこってりした感じのものばかりだ(『私は作中の人物である』清水義範・著/講談社)

『記者ハンドブック』での扱い

共同通信社が発行している『記者ハンドブック』では、「牡蠣」は単に生物としての貝の種類のひとつを表すときにはカタカナで「カキ」、料理名など文化的な意味をもつ成句の場合はひらがな書きにするよう勧めています(かき鍋、生がき…など)。

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

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