Q. 「防人」という漢字の読み方・由来・語源は?

「防人」という語を辞書で調べると「律令制下、大陸からの侵入を防ぐ目的で九州北部の沿岸や壱岐・対馬に派遣された兵士(『大辞林』三省堂)」とあります。日本史の教科書にも登場するほか、万葉集に「防人歌」というジャンルもありますね。また、映画『二百三高地』の主題歌で、さだまさしさんが歌った『防人の詩』というものもあります。

読み方は「さきもり」。その語源は?

「防人」は「さきもり」と読みます。その読み方は、沿岸や岬などで海からの攻撃を防ぐために配備された「崎(さき)守(も)り」、「岬守り」が由来となっているといいます。

いっぽう「防人」という漢字は古代中国の軍事制度から拝借しました。例えば『大唐六典』という唐の時代の文献には「辺要置防人為鎮守(辺地の防衛のために防人を置く)」という記述がみられます。この防人の任期は3年で、農村から徴兵された農民や犯罪者、無住者などが多く、食糧や武器は自前だったそうです。

日本の防人も中国のものと似ていて、任期は3年で諸国の軍団から派遣され、食糧・武器はやっぱり自前でした。つまり、日本では「防人」という漢字とともに、その内容も中国のものをまねていたということです。

「防人歌(さきもりのうた)」とはどんな歌?

防人には遠江よりも東の地域から多くの人が徴収され、さらに税も免税になるわけではなかったため、農民にとっては非常に重い負担でした。また、任務が終わって帰郷する際は付き添いもなく、途中で野垂れ死にする者も少なくなかったといいます。

そのような過酷な状況下で、『万葉集』には徴用された兵やその家族が詠んだ歌が100首以上収録されています。それが「防人歌」です。
いくつか紹介しましょう。

唐衣 裾に取りつき 泣く子らを 置きてそ来ぬや 母なしにして
唐衣にすがって泣きつく子どもたちを置いてきてしまったなあ、母も(死んでしまってもう)いないのに。

わが妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さへ見えて 世に忘られず
私の妻はとても恋しがっているようだ。飲もうとする水に影までもみえていて、決して忘れられない。

置きて行かば 妹はま愛し 持ちて行く 梓の弓の 弓束にもがも
置いて行ったら君がかわいそうだよ。持っていける梓の弓の、弓束だったらいいのに。

防人に 行くは誰が背と 問ふ人を 見るが羨しさ 物思ひもせず
「防人に行くのはどなたのだんな様?」と何の悩みもなく聞く人を見るとうらやましい。

現代の防人

常に危険と隣り合わせで地域社会の安全を守る職務に従事する自衛官・警察官・消防官(消防団員)・海上保安官などを、比喩的に「現代の防人」「地域の防人」などと呼ぶことがあります。

書体ごとの表記

明朝体


教科書体

行書体

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