Q. 「煙管」という漢字の読み方・由来・語源は?

「煙管」という語を辞書で調べると「刻みタバコを吸う道具。金属製のものや、竹の管(羅宇/ラウ)の両端に金属製の雁首(がんくび)と吸い口をつけた張り交ぜなどがある(『大辞林』三省堂)」とあります。そのまま「えんかん」と読むこともありますが、今回は外国語が由来の読み方について解説します。

読み方は「キセル」。その語源は?

「煙管」は「キセル」と読みます。『大辞林』によるとその由来はカンボジア語の「khsier(クシェル)」にあると書かれてますが、それとは別にポルトガル語の「que sorver(キソルベル)」、またはスペイン語の「que sorber(キソルベル)」が由来という説もあります。「sorver」も「sorber」も意味は「吸う」であり、「que」が付くことで「吸う物」を指す言葉になります。16世紀にポルトガルから鉄砲が伝わったころ一緒に伝来したという説もあり、そうなるとポルトガル語の「que sorver(キソルベル)」が由来なのかもしれません。

また冒頭でも書いたとおり竹の管の部分を「羅宇(ラウ)」と呼びますが、これについても「羅宇国(現在のラオス)」が語源であるという説と、ポルトガル語の「rabo(柄)」が由来であるという説があり、真相はわかっていません。

漢字の「煙管」は文字どおり「煙を通す管」という意味から付けられた当て字です。

「煙管(キセル)」には鉄道の不正乗車という意味もあり

電車の運賃をごまかして不正に乗車することを「キセル乗車」といいます。詳しい方法は割愛しますが、例えば東海道本線を使って東京から熱海まで行くときに、入るときは「東京ー新橋」間の切符で入り、出るときは「湯河原ー熱海」間の切符で出てしまい、新橋から湯河原までの料金を払わないといったような不正行為をいいます。

つまり最初と最後だけお金を払って中間はお金を払わないということですが、これが両端が金属で中間に金属を使っていない煙管の作りと似ているということで、このような行為を「キセル」と呼ぶようになりました。

使用例

もごもごつぶやいて、朱実の耳たぶをひっぱっていたが、何をするかと思ってみていると腰から煙管をぬいて、やおら煙草をつめこみ、火をつけた(『天狗岬殺人事件』山田風太郎・著/出版芸術社)

私たちのそばに坐っていた地主ふうの男が、懐から煙管を取り出し、それですぱすぱ煙草を吸い、吸い終ると、煙管を手首で叩き、赤い小さな玉になった煙草の(『椎の木のほとり』辻 邦生・著/中央公論社)

「時刻表アリバイは大別すると三角跳び、煙管、後戻り、乗り換え、表記外などになる」「それどういうこと」ある時、衣子が問うと得意げに、「まず三角跳びは、大きく迂回する本線を(『銀河鉄道殺人事件』森村誠一・著/講談社)

二、三杯飲んで酒がお腹にしみ渡る頃、煙草盆を引き寄せ帯の間からキセルを出して一服吸い、煙とともに溜息も吐き出すのだ(『北斎の娘』塩川治子・著/邑書林)

当時はまったくといってよいほど煙草がなかったから、その代りに、キセルにトウモロコシの赤い毛をつめてスパスパ喫っていた(『マンボウ交友録』北 杜夫・著/新潮社)

シンちゃんは、人斬り三次が帰宅した日、キセルでつかまって時間が遅れたことを、いまとなっては西武線に感謝した(『逆鱗組七人衆』嵐山光三郎・著/新潮社)

『記者ハンドブック』での扱い

共同通信社が発行している『記者ハンドブック』では、「えんかん」と読む場合は漢字で「煙管」、「キセル」と読む場合は仮名で「きせる(キセル)」と書くことを勧めています。

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

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