Q. 「銀杏」という漢字の読み方・由来・語源は?

「銀杏」という語を辞書で調べると「中国原産。高さは二〇メートル以上になる。葉は扇形で切れ込みがある。雌雄異株。花は春に新葉とともに生じ、雄花は穂状で、雌花は花柄の先端に二つ咲く(『大辞林』三省堂)」とあります。クルマの排気や害虫、病気に強く、また葉の保水力の高さが火事のときに延焼を防ぐため、街路樹として広く採用されてた木でもあります。

読み方は「いちょう」。その語源は?

「銀杏」は「いちょう」と読みます。銀杏の葉は扇形をしていますが、その形がカモの脚に似ているため昔の中国(明代)ではイチョウのことを「鴨脚(ヤーチャオ)」と呼んでいました。この「ヤーチャオ」が「ヤーチャウ」→「イーチョウ」→「イチョウ」となったといわれています。

またイチョウの実は形が杏(あんず)に似ていて、殻の色が白銀であることから「銀杏(ぎんあん)」と呼ばれ、それが「ぎんなん」となりました。茶碗蒸しに入っていることも多い、あの楕円球型の実ですね。ですから「銀杏」は「いちょう」とも「ぎんなん」とも読むことができますが、主に木や葉を指すときは「銀杏(いちょう)」、実を指すときは「銀杏(ぎんなん)」と使い分けたりします。

ほかにも「公孫樹」と書いて「いちょう」と読ませることもあります。そのまま「こうそんじゅ」と読むこともありますが、こちらは木を植えてから孫の代になってやっと実がなるという意味からきています。

「銀杏」を使ったその他の語句

銀杏脚(いちょうあし) 膳などの脚の下部が幅広く、イチョウの葉に似た形のもの。
銀杏芋(いちょういも) ヤマノイモの栽培品種。塊根がイチョウ形。
銀杏浮苔(いちょううきごけ) ウキゴケ科のコケ植物。葉がイチョウ形。
銀杏返し(いちょうがえし) 婦人の髪型のひとつ。
銀杏頭(いちょうがしら) 江戸時代の男の髪型のひとつ。
銀杏切り(いちょうぎり) 大根・人参などを薄く輪切りにしてさらに十文字に包丁を入れたもの。
銀杏崩し(いちょうくずし) 婦人の髪型のひとつ。
銀杏歯(いちょうば) イチョウの葉のように下の方を広く作った下駄の歯。
銀杏髷(いちょうまげ) 婦人の髪型のひとつ。
大銀杏(おおいちょう) 男の髪型のひとつ。相撲では十両以上の力士が結う。

(『大辞林』三省堂)

使用例

首相官邸の裏の崖がコンクリートで固めてあつて、その灰いろの広い壁を背景に銀杏並木がある。それを眺めたいからだ(『川端康成文学賞全作品』丸谷才一・著/新潮社)

柵結ひたる井戸ひとつ、銀杏の古りたる樹あり、そがうしろに人の家の土塀あり(『百虫譜』泉 鏡花・著/平凡社)

最も初めに楠さんと逢ひました時の私がおけし頭であつたのに比べて楠さんは大きい銀杏返しにも結つて居ました。楠さんは裁縫科の生徒だつたのです(『私の生ひ立ち』与謝野晶子・著/刊行社)

大学キャンパスは、風景も学生の表情も、別かと見間違うほどの変りようである。その銀杏並木の下を、秋葉は正門の出口へ向かって歩いていく(『化身』渡辺淳一・著/集英社)

このいきさつを、ずっとさっきから銀杏の木の陰からうかがっている三人の男。堅田の法住と、その輩下の権八と庄助である(『蓮如』五木寛之・著/中央公論社)

『記者ハンドブック』での扱い

共同通信社が発行している『記者ハンドブック』では、植物を指すときには「イチョウ(例/イチョウ並木)」、髪型などは「いちょう(例/いちょう返し)」、大相撲の「大銀杏」は漢字とすることを勧めています。

「イチョウ」に限らず、動植物の名をそのままの意味で記す場合は一般的にカタカナが用いられます。それに対して動植物を比喩的に使う場合や慣用句の場合は漢字やひらがなを使います(例/雨後のたけのこ、すずめの涙、ひのき舞台、など)。また、加工品や調理した物の名称に含まれる動植物名も漢字やひらがなを使います(例/かつお節、ひのき風呂、わさび漬け、など)。

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

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