Q. 「香具師」という漢字の読み方・由来・語源は?

「香具師」という語を辞書で調べると「縁日など人の集まる所に露天を出し、興行や物売りを業としている人。露天商の場所の割り当てや、世話をする人もいう。てきや(『大辞林』三省堂)」とあります。ずいぶん前から「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」で使われている語なので、ご存知の方も多いかもしれません。ただし、「かぐし」ではありませんよ。

読み方は「やし」。その語源は?

「香具師」は「やし」と読みます。意味は上の辞書の説明にあるような露天商や行商人のことを指しますが、江戸時代にはそのような人たちがよく香具(こうぐ)を扱っていたことから「香具師」となりました。そのまま「こうぐし」と読むこともあります。香具とは「薫物(たきもの)や匂い袋などに用いる沈香(じんこう)・丁字(ちょうじ)・白檀(びゃくだん)・麝香(じゃこう)などの総称(『大辞林』三省堂)」のことをいいます。

この「香具師」を「やし」と読む由来は諸説あるようです。
 ①香具師が薬を売っていたことから薬師(やくし)を由来とする説。
 ②薬の行商人・弥四郎(やしろう)の名前を由来とする説。
 ③野武士が生活のために薬を売っていたことを由来とする説。
 ④山と里との間で商いをしていた山師(やまし)を由来とする説。

こうしたいくつかの由来から、「香具師」は「弥四」「野士・野師」と書かれることもあります。

語尾に「師」が付くその他の難読語

桃文師(あやとりのし)
 律令制で、織部司に属し、錦・綾・羅などの製法を教授した職。

鋳物師(いもじ)
 鋳物をつくる人。

邯鄲師(かんたんし)
 客が眠っている間にその金品を盗む者。

傀儡師(くぐつし)
 平安時代以降、人形を操ったり、今様をうたったりして各地を漂泊した芸人。

呪禁師(じゅごんし)
 病気平癒などのための呪文を唱えることを仕事とした人。

陶物師(すえものし)
 陶器の製作を職業とする人。

殺陣師(たてし)
 殺陣を考案し、立ち回りの型を俳優に教える人。

土師(はじ/はにし)
 古代、埴輪の製作や陵墓の造営に従事した人。

使用例

三人目の男の面を見て、出雲はまさかという気がした。その男、香具師の銭五郎と言えば千日界隈で知らぬ者のない、顔役である(『難波が燃える』ひしぬま良秋・著/郁朋社)

一種の速記記号である。この「ささ」という言葉、香具師や盗人の世界では手紙のことになる(『プロが使う秘密の日本語』高島徹治・著/幻冬舎)

兄弟、なんの話をしてるのかよくわからん」シフェールはまた立ちあがると、香具師のような口調に変わった(『狼の帝国』ジャン=クリストフ・グランジェ・著、高岡真・訳/東京創元社)

「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」などでの使われ方

冒頭でもちょっと触れたとおり、大手掲示板の「2ちゃんねる」ではかなり古くからこの「香具師」という言葉が本来とはまったく違った意味で使われてきました。それが第三者を指していう「奴(やつ)」という意味での使い方です。

 奴 → ヤツ → ヤシ → 香具師

というわけですね。実際の使用例は以下のとおりです。

 お前みたいな香具師(=やつ)が来るところじゃねぇ!

ただ、最近ではあまり目にすることもなく、「2ちゃんねるで最近見なくなった死語ランキング」などに挙げられる言葉になってしまいました。

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

スポンサーリンク

シェアする

スポンサーリンク