Q. 「微睡む」という言葉の読み方・由来・語源は?

「微睡む」という語を辞書で調べると「ちょっとの間眠る。仮眠する(『大辞林』三省堂)」とあります。古語では「うとうとと眠る」とか「熟睡する」といった意味もあるようですが、現代では熟睡よりもちょっと手前の浅い眠りの状態を指します。

読み方は「まどろむ」。その語源は?

「微睡む」は「まどろむ」と読みます。読み方の由来は「目とろむ」が変化したものですが、目がとろ〜んとなる、と言った方がわかりやすいかもしれません。

「目」の読み方ですが、「目の当たり(まのあたり)」「眼差し(まなざし)」といったように「目・眼」はときおり「ま」と発音されることがあり、この場合も「めとろむ」ではなく「まとろむ」という読み方が由来になっています。

「とろむ」は「瀞む」と書き、「水面などが、波立たないで油を浮かせたように静まった状態になる(『大辞林』)」ことを意味する言葉です。ですから「目が瀞む」とは、瞳がどこかを凝視するでもなく、ただぼんやりと水面にゆらゆらと揺れているような状態をいいます。

「微睡」という漢字は「微か(かすか)」に「睡る(ねむる)」という意味から当てられた字です。この「微」という字は「微笑む(ほほえむ)」や「微風(そよかぜ)」といったように元来の読み方「び」とは違う形で使われることが多い漢字です。

「目」「眼」を「ま」と読むことが由来になっている語句

瞼(まぶた)→目の蓋

睫(まつげ)→目の毛

眼(まなこ)→目の子

まみえる→目見える「敵と相まみえる」

まぶか→目深「帽子をまぶかにかぶる」

使用例

「歴史は報復する、か。因縁のしがらみとは恐るべきものですね」「まあね」明峯治平が葉巻に火を点け、微睡むように紫煙をくゆらした(『妖少女』谷 恒生・著/祥伝社)

電車のシートや、教室の机や、あるいは夕食の席で、私は知らず知らずにまどろむ。意識がすっと私の体から離れていく(『TVピープル』村上春樹・著/文藝春秋)

ケンカしてまでがんばろうとは思わないが、出世したい気持ちは当然ある。そこそこの幸せの中でまどろむが、ストレスともけっこう縁がある(『男は「いい人」になんかならなくていい』弘兼憲史・著/講談社)

彼女が時代を洗濯する音を聴き、おれのくるぶしはせわしなく動く。彼女のアーモンドのような瞳はまどろむ。おれはけっして逃げたりしない(『ハートランドからの手紙』佐野元春・著/角川書店)

うとうととまどろみ、ときどき目をさましてはお互いの存在を確認し、またうとうとまどろむ。そんなことを何度か繰り返しているとき、ふと成田ははっきりと目を覚ました(『将棋の子』大崎善生・著/講談社)

表記と使われ方の傾向

いろいろな文献の情報を集めたところ、ひらがなで「まどろむ」とする表記の方が漢字「微睡む」よりも圧倒的に多数でした。また、字義どおりの浅い眠りという使い方ではなく、比喩的に「ゆったりした気分」を表すような使い方も少なくありませんでした。

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

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