Q. 「捗る」という言葉の読み方・由来・語源は?

「捗る」という語を辞書で調べると「物事が順調に進む。はかがゆく。進捗する(『大辞林』三省堂)」とあります。YouTubeなどを見ると、「勉強が捗る音楽集」とか「仕事が捗るBGM」といったコンテンツがいっぱいアップロードされており、近年、若い世代で積極的に使われている言葉のひとつでもあります。

読み方は「はかどる」。その語源は?

「捗る」は「はかどる」と読みます。もともとは上の辞書の説明にもあるとおり「はかがゆく」と言っていましたが、江戸時代ごろから「はかどる」という言い方が普及してきました。

「はか」は「捗・果・計・量」と書き、仕事や物事の進み具合を示す言葉です。田植えなどの作業のときに全体の仕事量を計測して各人に割り当てたその分担区域のことをいったりもしました。つまり割り当てられた「ノルマ」が順調にこなされていることを「はかがゆく」といい、それが「はかどる」となりました。

「捗」の「少」の部分には右側の点がない!?

「捗」という字は手偏に「歩(に似た字)」と書くのですが、書体によって「少」という部分の右の点がある場合とない場合があります。

ほとんどの場合は右の点がない形で使われることが多いのですが、このブログの記事もご覧になる環境によっては左の字のように表示されているかもしれません。

そもそも「歩」という字の由来も、左足と右足の象形文字を組み合わせたもので「少」の右側には点がありませんでした。

これが戦後の漢字改革時に「少」という字と同じにした方が紛らわしくないだろうということで、今の「歩」という字に変更されました。

ところが「捗」という字は当用漢字に含まれないため、「少」の部分が古いまま残ったというわけです。ですから字の成り立ちは「手」と「左足」と「右足」の組み合わせということになります。手足をフル稼働させて仕事をこなすという意味でしょうか?

使用例

およそ千尺なら三町に匹敵する。並べるだけなら力も要らぬし三倍も捗る。上手くすれば一日で五十町は進めるだろう(『炎立つ』髙橋克彦・著/講談社)

これで細川くんも安心だな。夏目くんが来てくれれば一気に仕事も捗るってものだよ(『恋をしよう』谷崎 泉・著/ハイランド)

「ロンドンは涼しいから、原稿もはかどるでしょう」などと言ってきた編集者がいたが、フッフッフ、甘い甘い(『英国ありのまま』林 信吾・著/中央公論社)

一回汚れたら捨てるようにすれば、掃除もはかどるしタオルも処分できる(『「捨てる!」技術』辰巳 渚・著/宝島社)

『記者ハンドブック』での扱い

共同通信社が発行している『記者ハンドブック』では、「捗る」はひらがな書きにするよう勧めています。

ですが冒頭でも述べたように近年、この「はかどる」をわざわざ漢字で書くスタイルがネット上で多く見られます。NAVERのまとめ記事「「はかどる」という言葉は、なぜわざわざ「捗る」と漢字表記されるのか?」にそのあたりの事情が詳しく書かれていますが、この流行にともない「はかどる」という言葉も「便利である」とか「都合がいい」といったように、本来より広義的に使われることが多くなっているようです。

「お前ら朝活してみろ、いろいろと捗るぞ」
「4月から新生活で一人暮らしなんだけど、あると捗るアイテム何かない?」

(若者言葉辞典~あなたはわかりますか?~)

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

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