Q. 「蔑ろ」という言葉の読み方・由来・語源は?

「蔑ろ」という語を辞書で調べると「侮(あなど)り軽んずること(『大辞林』三省堂)」とあります。たとえば、亭主が遅くまで仕事をして帰ってきたら家族がみんな寝てしまっているとか、休日の朝ちょっと遅く起きたら家族がみんな旅行に出かけてしまっていたとか・・・ そのような状況を指して「亭主が蔑ろにされている」と表現します。

読み方は「ないがしろ」。その語源は?

「蔑ろ」は「ないがしろ」と読みます。読み方の由来は「無きが代(しろ)」で、「き」が「い」に音便化して「無いが代」になりました。音便化とは発音上の便宜(発音のしやすさ)から単語の一部の音が異なった音に変わることをいいます。例えば「高き山」が「高い山」に、「打ちて」が「打って」になるなど、日本語によくみられる現象です。

「代(しろ)」とは「代わりとするもの」という意味で、親代わりの人のことを「親代(おやしろ)」といったりします。違う言い方をすれば「親代」は「親のようなもの」です。同様に「無いが代」は「無いようなもの」と解釈することができます。つまり、そこにいるのに「いないようなもの」として扱う、それくらい軽く扱うという意味になります。

漢字として使われている「蔑」は「蔑(さげす)む」という字に使われるように、人を見下す、バカにするといった意味があります。つまり、この字と組み合わせることで、悪い意味で「無いものとして扱う」ということになります。

「蔑」を使ったその他の語句

軽蔑(けいべつ)
 相手の人格・能力などを劣ったものと考えて、まともに相手にしないこと。

賤蔑(せんべつ)
 いやしめさげしむこと。
 ※別れる人にものを贈る「餞別」と間違えないように!

侮蔑(ぶべつ)
 相手を自分より劣ったものとみなし、さげすむこと。

蔑視(べっし)
 あなどること。さげすむこと。

蔑称(べっしょう)
 その人や物を軽蔑して呼ぶ称。

凌蔑(りょうべつ)
 あなどり、はずかしめること。

(『大辞林』三省堂)

使用例

父は責任、責任と口ぐせのように言っておきながら、一番大切な家族に対する責任を蔑ろにしたのだ(『魚葬』森村誠一・著/角川書店)

葬式についてを話し合うのは「縁起でもない」と言われてきたので、知っておくべき事柄が蔑ろにされてきたようです(『新しいお葬式さがし』林えり子・著/集英社)

何ら国民のためになるものではなく、人権の基本である自由や平等をはじめ国民の権利を蔑ろにすることになる(『政治思想と教育思想の連関』乙訓 稔・著/東信堂)

少なくともカヤクや調味料などの順番を無視したり、記してある調理時間をないがしろにした場合よりも確実に美味しく食べることができる(『ヒロカネ食堂』弘兼憲史・著/講談社)

いい換えれば男女のあいだで、それだけ性は大事なもので、性をないがしろにして、いい関係を作るのは難しいといってもいいでしょう(『男というもの』渡辺淳一・著/中央公論社)

人材を最重要視する西武のなかに、こないに、人をないがしろにする人がおったんでは、しめしがつかんと思うわ(『プロ野球これだけ知ったらクビになる』板東英二・著/青春出版社)

書体ごとの表記

明朝体


教科書体


行書体

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