修飾語と被修飾語をあまり離さない

文章の書き方

まず上のイラストを見てください。
この文章を「バイクで逃げる犯人を、追う警官」と読めば、バイクに乗っているのは犯人となります。また「バイクで、逃げる犯人を追う警官」と解釈すれば乗っているのは警官となります。では、次の文章の場合はどうでしょう?

(例)
先ごろ静岡ではじめてディズニーランドをつくった男の講演会が開催された。

これは、かつてディズニーランドの建設に携わった男の講演会が、先ごろはじめて静岡で開催された、という内容の例文です。ところがこれを頭から読んでいくと、あたかもつい最近静岡にディズニーランドが完成したような印象を与えてしまいます。「えっ、静岡にディズニーランドできたの?」「マジ? 超やべぇ」ってな具合です。

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修飾語と修飾される語を近くに置く

そのような誤解が生じてしまう理由は、「開催された」という述語を修飾する「先ごろ」「静岡で」「はじめて」という語句が離れた場所に置かれているからです。この誤解を解消するには、修飾する語句と修飾される語句を近くに置くのが最も効果的な書き方となります。

ディズニーランドをつくった男の講演会が、先ごろはじめて静岡で開催された。

または、「はじめて」と「ディズニーランド」の間に読点「、」を打って、前後の修飾関係を断ち切ってしまう方法もあります。

先ごろ静岡ではじめて、ディズニーランドをつくった男の講演会が開催された。

また、修飾語が複数ある場合には、その順番にも気を配る必要があります。次の例文を見てください。

A 吊り橋を渡るコツは、前を向いて止まらずにゆっくり歩くことである。
B 吊り橋を渡るコツは、ゆっくり前を向いて止まらずに歩くことである。
C 吊り橋を渡るコツは、ゆっくり止まらずに前を向いて歩くことである。

吊り橋というのは、下を見たり、いちど止まってしまったりすると、恐怖で渡れなくなってしまうものです。ですから視線を前方に据え、止まらずに、しかしながらゆっくり静かに歩くことが大切です。

そういった意味でAは、比較的誤解されにくい文になっています。ところがBは、前を向くという動作をゆっくり行う、つまり「ゆっくり」という語句が「歩く」ではなく、「前を向く」を修飾しているように読めてしまいます。

同様にCも、ゆっくり止まらない、つまり速く止まるべきだというちょっと意味不明な主張に聞こえてしまいます。

この「修飾語と被修飾語が離れてしまう」ケースと同様に悪い文によく見られるのが、以前にも紹介した「主語と述語が離れてしまう」例です。ぜひ、参考にしてください。

主語と述語をあまり離さない
文の中には基本的に「主語」と「述語」が登場します。主語とは、「誰々は」「何々が」という部分で、人やモノが当てはまることが多いです。それに対して述語には、「どうした」「どうである」といった具合に動作や状態を表す語句が使われます。 池田さ...
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