デキる人は「出来る」を「できる」と書く

テレビのバラエティ番組にはテロップ(字幕)がよく使われていますが、そこでときどき目にするのが上の写真のような「〜出来る(出来ません)」という表記。もちろん、日本語として間違っているというわけではありませんが、ここは「〜できる」と書くことをおすすめします。

(ちなみに上の写真はテレビ画面に似せて作ったサンプルです。モデルとなっているのは友人の Tea さん。「Tea さ〜ん、元気ですか〜」)

「できる」と「出来る」、どちらが多数派か

上でも書きましたが「できる」と「出来る」、どちらも日本語として間違いというわけではありません。放送局や出版社、各媒体の方針もそれぞれによって異なります。

例えば、共同通信社が発行している『記者ハンドブック』では、「動詞、副詞などは原則として平仮名書き」と説明したうえで以下のような例を挙げています。

…することができる、できる限り、できるだけ、橋ができる、勉強がよくできる、用事ができる、理解できる、利用できる

では、そのほかの報道機関はどうなのか。いくつかのニュースサイトで使用例を調べてみました。

アップルはさらに、特許製品を使い、水中での写真撮影や録音もできるとしている。「米アップル、ウエアラブルカメラ向け特許取得 ゴープロと競合も」
(ロイター/2015.01.14)

移植された肺は順調に機能していて、女の子は早ければ1か月ほどで退院できる見通しだということです。「女児提供の臓器 移植手術すべて終了」
(NHK NEWS WEB/2015.01.14)

オバマ大統領は、好調が続く経済や、サイバーセキュリティーの分野では協力できると呼びかけ、野党・共和党も一定の理解を示した。「野党が過半数…米大統領が与野党幹部と会談」
(日テレ NEWS24/2015.01.14)

中国の家電メーカー、ハイアールの日本法人は、透明な洗濯機や着せ替えできる冷蔵庫などの新商品を発表しました。「家電大手の新ビジネス “販売後も収益を”」
(TBS News i/2015.01.14)

国内の競走馬が出走する海外でのレースの馬券を、JRA(日本中央競馬会)などが、国内で販売できるようにする方向で、農林水産省が検討していることがわかった。「日本馬出走の海外レース馬券を国内販売できるよう検討 農水省」
(FNN/2015.01.13)

一括償却が必要だったタービンなどの発電設備も減価償却が引き続きできるようにすることなどが盛り込まれました。「廃炉会計制度の見直し 有識者会議で大筋了承」
(テレ朝 news/2015.01.14)

以上のように、大手の通信社や放送局(の報道部門)はすべて「〜できる」と平仮名表記をしていました。

また、政府によって出されている「公用文における漢字使用等について」という文書の中に以下のような記載があります。

次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
例 ある(その点に問題がある。)
  いる(ここに関係者がいる。)
  こと(許可しないことがある。)
  できる(だれでも利用ができる。)

以上のような状況をまとめると、どうも「〜できる」と平仮名で表記する方が多数派のようです。

不思議なのは同じテレビ局でも報道とバラエティで扱いが異なるということ。「もしかしたらバラエティ番組の制作スタッフが無知なんじゃないの?」と勘ぐってしまう人もいるでしょう。

そう思われないために、つまり無知ではなく「デキる人」と思われるために、「〜できる」は平仮名で書くことをおすすめするわけです。

「でき」と「出来」は場合によって使い分ける

では、「出来」はすべて「でき」と表記するべきかというと、実はそういうわけでもありません。上で取り上げた『記者ハンドブック』では「動詞、副詞などは原則として平仮名書き」とし、それとは別に漢字で書く例も挙げています。

上出来、出来合い、出来上がり、出来上がる、出来心、出来事、出来過ぎ、出来損なう、出来高(払い)、出来値、出来のよい作品、出来不出来、出来具合

ちょっとややこしいかもしれませんが、名詞として語句が定着しているものは漢字で書くということです。また、「出来上がる」「出来損なう」といったように「出来」にほかの動詞が結合したような動詞も漢字で書くとしています。

ちょっと話がそれますが、「出来」には「しゅったい/しゅつらい」という読み方もあり、「大事件が出来(しゅつらい)する」「重版出来(しゅったい)」といった使われ方もします。

このあたりの使い分けのルールを理解していると文章はとてもスマートになりますし、逆にうまく使い分けができていないと「素人っぽい」という印象を与えてしまいます。

ぜひ参考にしてみてください。

では最後に本日のまとめとして、重複表現を承知のうえで、できるだけ多く「できる」「出来る」を入れた例文を作ってみました。

出来のよい製品ができたので、できる限り多くの人が利用できるよう、下請け会社に出来高払いで大量生産してもらった。しかし納期と費用を削ったため出来損ないが多く出来上がってしまい、株式市場での出来値も下落。プロジェクトとしては上出来とはいえない結末だ。

・・・ああ、なんという悪文。

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